【不正ダメ!】インサイダー取引とは何か

社会

10月19日の報道によると、金融庁に出向中の裁判官が、業務中に知り得た情報を元に株取引を行った可能性があるとのことで、金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で強制捜査を受けていたそうです。

これまでにもインサイダー取引で逮捕された人はたくさんいますが、裁判官までそのような事をする人がいるのですね…。自分がどのような罪になり、どのような罰則を受けるか分かった上で行っているのでしょうから、救いようはないですね。

インサイダー取引とは何か?

インサイダー取引の概要

  • 定義
    インサイダー取引は、会社の未公開の重要な情報を基に株式や金融商品の売買を行う行為です。この情報は一般の投資家には公開されていないため、不公平な取引として法律で禁止されています。
  • 対象者
    会社の役員、社員、取引先、顧問、弁護士、会計士など、会社の重要情報にアクセスできる立場にある人々(インサイダー)や、その情報を得た第三者が対象になります。
  • 未公開情報の例
    新製品や新サービスの発表
    ・業績や決算に関する情報
    ・合併、買収などの企業再編
    ・重要な契約や取引に関する情報
  • 罰則(日本の場合)
    刑事罰: 5年以下の懲役または500万円以下の罰金
    課徴金: 不正に得た利益の1.5倍を上限として課徴金が課される
    法人に対する罰金: 最大7億円
  • 影響
    ・株価の急落や企業の信用低下などの大きな影響を市場全体に与えます。
    ・コンプライアンスや情報管理の強化が求められるようになります。

インサイダー取引は、公正で透明な市場の運営を妨げる行為であり、違反者には厳しい制裁が科される重大な犯罪です。

インサイダー取引はどのようにして判断されるのか?

インサイダー取引が判断される際には、主に以下の要素が考慮されます。それらを総合的に検討し、違法行為かどうかが判断されます。

1. 内部者かどうか

  • 取引を行った人がその会社の内部者(役員、社員、またはその会社に関する未公開情報にアクセスできる第三者)であるかどうかが確認されます。
  • 内部者でない場合でも、内部者から情報を受け取った人(情報の受領者)も対象になります。

2. 未公開の重要情報を使用したか

  • 取引が行われた時点で、その情報が一般に公開されていなかったかどうかが確認されます。
  • さらに、その情報が株価や市場に影響を与えるような「重要」なものであるかどうかが重要です。例えば、会社の業績予想、合併・買収の計画、新製品の発表などです。

3. 情報を基に取引が行われたか

  • 取引が、その未公開情報に基づいて行われたことが立証される必要があります。つまり、その情報を知っていたからこそ、そのタイミングで株の売買を行ったと判断できるかどうかです。

4. 取引のタイミング

  • 取引が行われたタイミングも重要です。未公開情報を入手してからすぐに取引を行った場合、その取引は疑われやすくなります。
  • また、情報が公開された直後に取引を行った場合でも、事前に情報を知っていた可能性があるとみなされることがあります。

5. 利益または損失回避があったか

  • インサイダー取引があった場合、その結果として不当な利益が得られたか、または損失が回避されたかどうかが確認されます。これが立証されると、インサイダー取引の疑いが強まります。

これらの要素を検討した上で、証拠や証言が揃うことで、インサイダー取引かどうかが最終的に判断されます。法律上、インサイダー取引は厳しく規制されており、違反が確認されると罰則や刑罰が科されることがあります。

過去の事件例について

日本国内でインサイダー取引に関する大きな事件はいくつかありますが、その中でも特に注目された事例をいくつか紹介します。

1. ライブドア事件(2006年)

  • 概要: インターネット企業ライブドアが、未公開情報を利用したインサイダー取引および粉飾決算を行ったとして、創業者である堀江貴文氏らが逮捕されました。この事件は、日本の証券市場に大きな衝撃を与え、株式市場全体が一時的に混乱しました。
  • 影響: この事件により、ライブドア株は急落し、多くの投資家が大きな損失を被りました。また、堀江氏は懲役刑罰金刑が科され、その後の日本における企業コンプライアンスの重要性が強調されるきっかけとなりました。

2. オリンパス事件(2011年)

  • 概要: オリンパスは、長年にわたって損失隠しを行っており、その情報が明るみに出た際に、会社の役員がその情報を基に株の売買を行ったとされる事件です。内部告発によって発覚し、経営陣がインサイダー取引に関与していた疑いが強まりました。
  • 影響: オリンパスの不正行為が公にされると、同社の株価は急落し、国内外の投資家からの信頼を失いました。この事件は、日本企業のガバナンスや透明性に対する国際的な関心を高め、日本国内でも経営管理の厳格化が求められるようになりました。

3. セブン&アイ・ホールディングス事件(2012年)

  • 概要: セブン&アイ・ホールディングスの役員が、子会社の株式売却に関する未公開情報を基に株を売買したとしてインサイダー取引の疑いで逮捕されました。この事件は、上場企業の役員が内部情報を利用して利益を得ようとした典型的なケースとして注目されました。
  • 影響: 企業のトップがインサイダー取引に関与したことが明るみに出たため、セブン&アイ・ホールディングスの株価は急落し、会社の信頼性にも大きな打撃を与えました。

4. 野村證券事件(2012年)

  • 概要: 野村證券の社員が、企業の公募増資に関する未公開情報を漏洩し、その情報を基に他の投資家が株の取引を行った事件です。証券会社がインサイダー取引に関与したことで、金融業界全体に大きな衝撃を与えました。
  • 影響: この事件を受けて、金融庁は野村證券に対して業務改善命令を出し、証券業界全体でのコンプライアンス強化が求められるようになりました。また、情報管理の徹底が証券会社や企業全体にとって重要な課題として浮き彫りになりました。

これらの事件は、日本国内でインサイダー取引に関する法整備や規制強化が進むきっかけとなり、市場の透明性と公正性を保つための努力が続けられています。

著者プロフィール
この記事を書いた人
ロジャー

Webアプリ開発を20年近く経験し、管理職なった今も時々ソースをいじるメインは営業職の管理者。もうすぐ40代。最近は、AIを活用して少しでも仕事やプライベートを面白くしていきたいと考えているおっさんです。困った事もAIなら解決してくれるはず!?

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