新NISAがはじまり、株式投資を始めた人も多いと思います。
慣れるまでは見慣れない言葉や計算方法などが出てきて、意味が分からなかったりしますが、慣れればそれほど難しいことを言っていないことは分かってくるはずです。
今回は、株式投資における「PER」と「PBR」についてまとめてみました。
PERとPBRとは何なのか?

株式投資において、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)は、株価の評価や投資判断に用いられる指標です。以下で簡単に説明します。
PER(株価収益率: Price Earnings Ratio)
PBR(株価純資産倍率: Price Book-value Ratio)
これらの指標は、単独で見るよりも他の指標や業界平均と合わせて判断することで、より適切な投資判断ができます。
それぞれの業界平均はどれくらいか?

株式投資におけるPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)は、業種によって平均値が異なります。以下に、主な業種別の平均値を示します。
業種別平均PER(株価収益率)
業種 | 平均PER(倍) |
---|---|
情報・通信業 | 37.32 |
陸運業 | 34.29 |
サービス業 | 29.93 |
繊維製品 | 29.37 |
小売業 | 27.67 |
食料品 | 25.78 |
電気・ガス業 | 25.47 |
その他製品 | 21.72 |
医薬品 | 21.64 |
機械 | 19.78 |
精密機器 | 19.71 |
卸売業 | 19.00 |
パルプ・紙 | 18.96 |
金属製品 | 18.43 |
化学 | 17.24 |
電気機器 | 17.10 |
建設業 | 16.51 |
輸送用機器 | 15.52 |
水産・農林業 | 14.93 |
保険業 | 14.76 |
その他金融業 | 14.13 |
不動産業 | 13.89 |
ガラス・土石製品 | 13.85 |
非鉄金属 | 11.95 |
ゴム製品 | 11.70 |
鉄鋼 | 11.37 |
倉庫・運輸関連 | 11.36 |
石油・石炭製品 | 10.64 |
銀行業 | 8.57 |
鉱業 | 8.13 |
海運業 | 4.60 |
空運業 | 3.85 |
証券、商品先物取引業 | 0.97 |
業種別平均PBR(株価純資産倍率)
業種 | 平均PBR(倍) |
---|---|
情報・通信業 | 2.50 |
医薬品 | 2.51 |
精密機器 | 1.87 |
サービス業 | 1.71 |
その他金融業 | 1.64 |
電気機器 | 1.35 |
化学 | 1.05 |
機械 | 0.95 |
不動産業 | 0.92 |
ガラス・土石製品 | 0.82 |
食料品 | 0.81 |
その他製品 | 0.80 |
保険業 | 0.72 |
陸運業 | 0.71 |
繊維製品 | 0.70 |
鉱業 | 0.70 |
海運業 | 0.65 |
水産・農林業 | 0.63 |
金属製品 | 0.60 |
電気・ガス業 | 0.59 |
ゴム製品 | 0.59 |
小売業 | 0.59 |
証券、商品先物取引業 | 0.59 |
石油・石炭製品 | 0.58 |
建設業 | 0.51 |
空運業 | 0.50 |
非鉄金属 | 0.48 |
銀行業 | 0.47 |
倉庫・運輸関連 | 0.46 |
卸売業 | 0.41 |
輸送用機器 | 0.41 |
パルプ・紙 | 0.41 |
鉄鋼 | 0.39 |
これらの数値は、2022年1月24日時点のデータに基づいています。
業種ごとにPERやPBRの平均値が異なるため、個別企業の指標を評価する際には、同業他社や業界平均と比較することが重要です。
なぜPERは業界によって大きく値が変わるのか?

PER(株価収益率)は、業界によって大きく変わる理由はいくつかあります。
1. 業界の成長性
成長産業(例: IT、バイオテクノロジー)は将来的な収益の大幅な増加が見込まれるため、投資家は将来の期待から高いPERを容認します。これに対して、成熟した業界(例: 銀行、鉄鋼)では成長の見込みが少ないため、PERは低くなる傾向があります。
2. 収益の安定性
収益が安定している業界(例: 公益事業や食品業)はリスクが低く、PERが適度な値に収まることが多いです。一方、収益が変動しやすい業界(例: 鉱業、海運)は業績の波が大きいため、PERも変動しやすくなります。
3. 業界の資本構造
業界によっては資本集約型(例: 鉄鋼、製造業)とそうでない業界(例: サービス業)があります。資本集約型の業界は設備投資が多く、利益率が低いためPERが低くなることがあります。
4. 市場の期待
新興企業や革新的な技術を持つ企業が多い業界では、投資家の期待も高く、PERが高めになります。例えば、テクノロジー業界では将来の飛躍的な成長が見込まれるため、PERが高くなりがちです。
5. 経済状況や景気循環
業界ごとに景気に対する敏感度が異なります。例えば、景気が良い時は消費者向けの贅沢品や新技術の業界が高評価され、PERが上がることがあります。一方、景気後退期には、安定収益を見込める公益事業や食品などの必需品関連企業が注目されやすくなります。
まとめ
- PERが業界によって異なるのは、業界の成長性などが起因している
- 他にも、収益の安定性、資本構造、市場の期待、経済状況などの要因が影響している
- PERを使った分析では、業界ごとの特性を考慮する必要がある
- 他業界との比較ではなく同業界内での比較を行うことが重要
PERが業界によって異なるのは、各業界の成長性、収益の安定性、資本構造、市場の期待、経済状況などの要因が影響しているためです。したがって、PERを使った分析では、業界ごとの特性を考慮し、他業界との比較ではなく同業界内での比較を行うことが重要です。