営業職の宿命とも言える「ノルマ」ですが、自分の頑張りだけではどうしても乗り越えられない壁というものが存在します。その壁の多くが、相手がいることによる問題であり、相手の気持ちや行動をしっかりと分析することが、成果に結びつきます。
営業職分野以外にも役立つことあると思いますが、今回は「購買意欲をどうやって掻き立てれば良いか」「どうやって商品に興味を持ってもらうか」をまとめていきたいと思います。
科学的根拠に基づく手法7選
購買意欲を掻き立てるための方法には、心理学や行動経済学に基づいた理論が多く存在します。以下は、科学に基づいた代表的な理論やテクニックです。
1. 希少性の原理(Scarcity Principle)
理論 社会心理学者のロバート・チャルディーニの研究によると、人は「希少なものほど価値が高い」と認識しやすくなる傾向があります。限られたものや期間限定のものに対して、より強い欲求を抱くのはこのためです。
応用 「残り〇個」「今だけ」などのフレーズを用いて、在庫数や時間の制限を提示すると効果的です。
具体例 ウェブサイトで「残り5点です」「残り2日でセール終了」などをリアルタイムで表示することで、顧客に購入の緊迫感を与えます。
2. アンカリング効果(Anchoring Effect)
理論 人は初めに見た情報(アンカー)を基準にして、その後の判断を行う傾向があります。たとえば、高い値段を提示された後に割引価格を見ると、「お得」と感じやすくなります。
応用 割引前の価格を表示する、セット商品の総額を示した後に割引価格を提示するなどが効果的です。
具体例 定期コースやセット商品を販売する際に、「単品購入 3,000円」「定期購入なら初月2,000円!」と表示し、割安感を強調します。
3. 社会的証明(Social Proof)
理論 人は他の人の行動や意見に影響される傾向があります。多くの人が購入している、または評価が高いと分かると、安心して購入を決めやすくなります。
応用 レビューの表示や、「〇〇人が購入」「人気ランキング1位」などの情報を提供することで、信頼感を得られやすくなります。
具体例 商品ページに「〇〇人が購入」「人気No.1」と表示したり、写真付きレビューや動画での使用感を載せることで、顧客に安心感を提供します。
4. 損失回避(Loss Aversion)
理論 行動経済学者ダニエル・カーネマンの研究によれば、人は「得られる利益」よりも「失うこと」に強く反応します。このため、「失うかもしれない」という恐れが購買行動を促進することがあります。
応用 「今買わないと損」「在庫限り」といったメッセージを使用することで、損失を避けようとする心理を利用できます。
具体例 「今だけ10%オフ!次回の入荷は半年後」と表記し、今購入しないと失うかもしれない感覚を与えます。また、カートに商品を入れたままの顧客に対して「残りわずかです」「この商品はよく売れています」とリマインドメールを送るのも効果的です。
5. コンフォメーションバイアス(Confirmation Bias)
理論 人は自分の信念や期待を強化する情報に注目し、それを見つけると安心して購入行動を取りやすくなります。
応用 顧客がもともと抱いている悩みや欲求に沿った説明をし、その商品が「解決策である」と感じてもらうことで、購買意欲を高められます。
具体例 「肌荒れに悩むあなたに最適のスキンケア商品」「お片付けが苦手な方必見の収納アイテム」とターゲットに合わせたメッセージで、その商品が理想的な解決策であることを示します。
6. フレーミング効果(Framing Effect)
理論 同じ情報でも、見せ方や表現の仕方によって受け手の印象が変わります。特にポジティブなフレームで商品を紹介することは、購買意欲を引き出すのに効果的です。
応用 「この商品で得られるメリット」を前面に押し出すことで、ポジティブな印象を持たせます。
具体例 「この商品を使うと〇〇が改善されます!」や「時間と手間が50%削減されます」など、具体的な数字やデータでメリットを強調することで、顧客に「自分にとって必要だ」と感じてもらいやすくします。
7. 返報性の原理(Reciprocity Principle)
理論 人は何かを与えられると、お返しをしたいと感じる心理的傾向があります。これは社会心理学でも立証されている原理で、試供品や無料のサンプルをもらった場合、お返しに商品を購入しようという気持ちが生まれやすくなります。
応用 試飲や試供品の提供、または会員特典やクーポンのプレゼントなどを行うと、顧客が商品を購入する意欲が高まります。
具体例 初回購入者に対して「次回使える10%オフクーポン」を提供したり、「会員登録で送料無料キャンペーン」などを展開して、顧客が「何かを返したい」と感じる状況を作ります。
8. 権威の原理(Authority Principle)
理論 人は信頼できる権威や専門家の意見を信じやすく、その意見に従おうとする傾向があります。
応用 専門家の推薦や、実績のあるブランドであることをアピールすることで、顧客の信頼を得られます。
具体例 「医師推奨」「人気インフルエンサー愛用中」「〇〇認定取得」といったバッジやラベルを商品ページに表示し、顧客に「信頼できる商品である」とアピールします。
これらの心理学や行動経済学に基づくテクニックは、消費者の自然な思考や感情を利用して購買意欲を刺激する効果があるため、マーケティングやセールスにおいて大変有用です。