これまで世界中で様々なショックが起きてきた過去があります。例えば、オイルショックやリーマンショック、コロナウイルスによる世界的なパンデミックなど人類はたくさんの困難を乗り越えてきました。
今回はその中でも世界経済に多大な影響を及ぼした「リーマンショック」について聞いてみました。
リーマンショックはなぜ起きたのか?
リーマンショック(2008年の金融危機)は、アメリカのサブプライム住宅ローン市場の崩壊が主な原因で起こりました。これを簡単に説明すると、次のような流れです。
1. サブプライムローンの拡大
銀行は、信用力が低い人(=サブプライム層)にも住宅ローンを積極的に貸し出しました。金利が低い時期に多くの人々が家を購入できるようになり、住宅価格は急上昇しました。
2. リスクの証券化
銀行や金融機関は、このサブプライムローンをまとめて「住宅ローン担保証券(MBS)」として、投資家に売り出しました。これにより、銀行はさらに多くのローンを貸し出すことができ、リスクを他の金融機関や投資家に分散させることができました。
3. 住宅価格の下落
住宅価格が上昇しすぎた後、徐々に住宅価格が下がり始め、サブプライム層の人々はローンの返済ができなくなりました。多くの人がローンをデフォルトし、銀行は大きな損失を抱えました。
4. 金融機関の危機
多くの金融機関が住宅ローンに関連する金融商品を大量に保有していたため、これらの商品の価値が急落し、金融機関は深刻な資金不足に陥りました。その結果、アメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻しました。
5. 信用危機
リーマン・ブラザーズの破綻により、世界中の金融市場が不安定になり、信用取引が停止し、企業や個人の資金調達が困難になりました。これにより、世界的な経済不況が引き起こされました。
まとめると、サブプライムローンの拡大と住宅価格の下落が連鎖的に金融システム全体を揺るがし、最終的にリーマンショックという世界的な金融危機につながったのです。
サブプライムとは何か?
「サブプライム」とは、信用力が低い人々に対して提供されるローンや融資のことを指します。特に「サブプライムローン」という形で、2000年代に住宅ローン市場で多く使われました。
サブプライムの意味
- プライム(Prime):信用力の高い借り手(高い返済能力がある人)に対する通常の融資を指します。
- サブプライム(Subprime):信用力が「プライム」ほど高くない人たち、つまり、過去にローンを返せなかったことがある、収入が不安定などの理由で信用評価が低い人に対する融資です。
サブプライムローンの特徴
- 高い金利:信用リスクが高いため、プライムローンよりも金利が高く設定されます。
- 低い審査基準:サブプライムローンは、通常よりも緩い審査基準で提供されました。返済能力の確認が不十分な場合も多かったです。
- リスクが大きい:借り手が返済できなくなるリスクが高いため、ローンを貸し出す側にも大きなリスクがありました。
サブプライムローンが問題になった理由
サブプライムローンは一時的に多くの人が住宅を購入するのを可能にしましたが、家計が厳しくなると返済が困難になり、多くの人がローンを返済できなくなりました。このようにして、多くのサブプライムローンが不良債権となり、最終的には金融市場全体に大きな悪影響を及ぼす結果となりました。
簡単に言うと、サブプライムは「返済が難しいかもしれない人に貸す高リスクのローン」という意味です。
リーマンショックが起こるまでを時系列でまとめる
リーマンショックが起こるまでの流れを、重要な出来事を時系列に沿ってまとめると以下の通りです。
- 1990年代後半
2000年代初頭住宅市場の好況- アメリカで住宅価格が急速に上昇し、銀行は住宅ローンを積極的に貸し出すようになりました。特に信用力が低い人々に対してもサブプライムローンが普及し始めます。
- 金利も低く、借り手にとってローンが組みやすい状況が続きます。
- 2000年代前半サブプライムローンの拡大
- 銀行や金融機関はサブプライムローンを積極的に提供し、住宅を購入する人が増加。住宅価格はさらに上昇しました。
- サブプライムローンは「証券化」され、投資家に売られる金融商品となりました。この「住宅ローン担保証券(MBS)」を金融機関が大量に保有するようになります。
- 2004年 –
2006年金利の上昇と住宅バブルのピーク- 2004年からアメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度)が金利を引き上げ始め、住宅ローンの利息も上昇しました。
- それに伴い、住宅価格の上昇が止まり始めます。サブプライム層の多くの借り手がローンの返済に困難を感じ始めました。
- 2006年 –
2007年住宅バブル崩壊- 2006年には住宅価格がピークを迎え、その後価格が急激に下落し始めました。
- 返済能力のないサブプライムローンの借り手が次々に返済不能(デフォルト)に陥り、住宅市場全体が不安定化しました。
- 2007年には、いくつかの大手金融機関がサブプライムローン関連の損失を発表し始めました。
- 2007年金融市場の不安定化
- 住宅ローン担保証券(MBS)を大量に保有していた金融機関が、住宅価格の下落により大きな損失を被り、資金繰りが厳しくなりました。
- 2007年8月、フランスの大手銀行BNPパリバがサブプライムローンに関連するファンドの取引を停止。これが市場に大きな不安をもたらし、信用危機が始まります。
- 2008年3月ベアー・スターンズの救済
アメリカの投資銀行ベアー・スターンズが資金繰りに行き詰まり、FRBとJPモルガン・チェースの支援で救済されました。これにより、市場の不安はさらに広がります。
- 2008年9月リーマン・ブラザーズの破綻
- 2008年9月15日、大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破産申請を行いました。この破綻は、金融システム全体に深刻な影響を及ぼし、世界中の金融市場がパニックに陥りました。
- 直後、アメリカ政府はリーマン・ブラザーズを救済せず、金融市場全体の信用危機が一気に加速しました。
- 2008年10月世界的な金融危機
- リーマン・ブラザーズの破綻後、他の大手金融機関も危機に瀕し、アメリカ政府や各国政府は緊急の金融安定化策を講じました。
- 世界中の株式市場が大幅に下落し、企業の倒産や失業率の上昇が相次ぎました。
- 2009年経済危機の影響拡大
金融危機は世界的な経済危機へと発展し、多くの国で深刻な不況が続きました。アメリカでは大規模な景気刺激策や金融機関への公的資金注入が行われ、徐々に経済が回復へ向かいました。
このようにして、サブプライムローンを中心にした住宅バブルの崩壊から、リーマン・ブラザーズの破綻が引き金となり、世界的な金融危機が発生しました。